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楽しく爽快なサーキット走行

2006年ジャパン・ル・マン・チャレンジ Rd.2もてぎ

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先に行われた開幕戦(SUGO)にて総合2位、クラス優勝の快挙を成し遂げ、我が『Aim Sports GC-21』の名は多くの雑誌にて紹介され、高い評価を得られたことは大変光栄なことである。約1ヵ月半が経ち、第2戦の勝負の場を「ツインリンクもてぎ」での開催。このサーキットの特徴はSTOP&GO、ブレーキに対して厳しいと称されている。更に信頼性の高いマシーンへと変貌させ、勝利を手中へ収めたい。

第2戦を迎える前、6月7日(水)に合同テストが設けられた。山崎選手と麻生選手の走行で様々なデータを蓄積することとなる。ブレーキに多くの負荷がかかることは、このサーキットの特徴として理解している。このことに対応すべく、ブレーキ・パッドを磨耗の少ない耐久用で試してみた。

しかし、思いの外、磨耗に対して十分なゆとりを確認することが出来たため、今回のレースでは合同テスト時よりも耐久性より制動力のあるパッドを利用することとした。これに伴い、ブレーキ・キャリパーの変更、ローターベルなどの製作、ブレーキ冷却用のエアーダクトを大型のものに
変更するなど様々なことをマシーンに施した。前回、残り1時間程でクラッシュしたマシーンがコースを塞ぎ、赤旗中断、そして「統一規則(ケースC)」により、レースは終了しており、実際に1000km,6時間を走りきった実績は得ていない。そして、週末の天気は、雨と予想されている。果たしてどうなることか、再度、チャレンジする気持ちでレースウィークを迎えた。

【はじめに】
【06.29&30.06 Free Practice 】
薄い灰色の雲に覆われた空、湿気の多さと暑さでとても蒸し暑い。フリー走行となる2日間は路面を濡らすことなく、ドライ・コンディションで行われた。開幕戦で得たデータを基にブレーキ・バランスの確認、変更箇所を確認しながらマシーンにセッティングを施すなど、ドライバーと意見を交換しながら走行時間を過ごす。しかし、難しいのは週末の天候が雨と予想され、初となるウェット・コンディションでのセッティング、タイヤとのバランスをも考慮せざるを得ないことであった。様々な面で妥協点を探りながらの走行時間はあっと言う間に過ぎてしまった。

【07.01.06 Qualify 】
明け方から降り出した雨は完全に路面をウェット・コンディションにしていた。この日の降水確率は、午前中60%午後20%。

10:15~11:15 Driver’s Qualify Weather : Cloudy Course : Wet/Dry
走行開始時間前に雨は上がり、薄くなりつつある雲の行方が気になった。時折、吹く風に心地良さを感じたが路面は乾くことなく、ウェット・コンディションのままであり、レイン・タイヤ装着でのアタックとなった。山崎選手、麻生選手、富澤選手の順でドライバー・ズ予選を開始した。クラス内トップ、総合3番手のタイムを記録し、今回のレース・ウィークに期待が持てることを窺い知れた。

14:40~15:00 Grid Qualify Weather / Cloudy Course / Dry
湿度は高いものの路面はすっかり乾き、ドライコンディションとなっていた。2日間のフリー走行で、Newスリック・タイヤ(ドライ)で走行チェックを行っていた富澤選手にグリット予選のアタック・ドライバーを託す。目標基準タイムは以前、GC-21シリーズが「MOTEGI」で記録した1分52秒台より、1秒早い1分51秒台を目標とし、具体的には1分51秒2から1分51秒6を考慮していた。今回、ターゲットとしたのは前回の覇者Car No.20のFerrariより前からスタートし、レース展開をこちらのペースでコントロールすること。

先にコース・インしたCar No.20Ferrari行方を見守り、タイミングを計りいよいよ富澤選手がコース・インする。そして、記録されたラップ・タイムは、思惑通りCar No.20Ferrariを1秒上回るタイムを記録し、予定通りの3番グリットを獲得することが出来た。総合3位ももはや夢ではない。そして、前を行く2台の状況次第では更に上を狙える。明日迎える決勝レースが楽しみとなり、チーム全体が興奮していた。

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【07.02.06 Race 】
決勝当日の天候も不安定な予感を感じさせた。朝一番のフリー走行は、ウェットからドライへ変わる路面コンディションで行われた。30分間の走行時間を山崎選手と麻生選手はドライ・タイヤでの走行で感触を確かめる。例え、決勝レースで雨が降ってもセッティングの変更はない。マシーンに最後のチェックを施し、ドライバー交替の練習を行う。

Pit Walkの時間では沢山の方々から声援を受け、リラックスした3人の表情がとても印象的であった。決勝前に再度確認した天気予報は、12時から3時まで曇り、3時から6時まで微雨とあった。最近のMOTEGIは通り雨があると耳にした。天候がどのように左右するのか何度も空を見上げた。

いよいよ、決勝レース・スタート。2番グリットのCar No.16Courageはマシーンへの作業が終わらず、コースに現れていない。ローリング・スタートで山崎選手は予定通り、1コーナー進入でNo.20Ferrariを抑え、ポジション2位を得てそのまま周回数を重ねる。山崎選手は1分53秒から54秒台で周回数を刻む。No.20Ferrariは1分55秒台から56秒台で走行している。

マージンを築いてピット作業でかかるロス・タイムを軽減させたい。プッシュの声に山崎選手は走りで答えた。MOTEGIは約4.8kmのコースであり、周回数30から35周では、給油を必要とする。

最初のPit Inは32周目に示され、給油を施し、山崎選手の2スティントめ走行開始。大粒の雨が路面を濡らし始めた。タイヤをレイン・タイヤに換えるかの判断を瞬時に行わなければならない。

しかし、風上の空を見上げると雲は切れている。直ぐ、雨は上がると判断し、そのままスリック・タイヤで我慢の走行を無線で促す。山崎選手は慌てる様子も無く、落ち着いた走行を続ける。

そして、数分のうちに雨も上がり、路面コンディションも大きな変化を見せなかった。約2時間合計66周目で麻生選手がコック・ピットへ乗り込む。ドライバー交替、タイヤ交換、給油を問題なく終え、麻生選手の走行が始まった。

これまで築いたマージンとマシーンの耐久性を考え、1分56秒から57秒台の抑え気味での走行を麻生選手へ促す。無線連絡で、「マシーンに問題は感じない」との声に安堵する気持ちを持ちながらレースの行方を見守る。そして、総合優勝も夢ではないチャンスが訪れた。

前を行くCar No.21Zytekが突然スロー・ダウン、Pitへ戻ると再び、レースへ復帰することは無かった。その瞬間から我がCar No.18Aim Sports GC-21は総合トップへ躍り出てレースを引っ張る形となった。走行開始から約4時間130周目でPit Inし、富澤選手へステアリングは渡された。

もはや、周回遅れとしたNo.20Ferrari以外に敵はいない。Pit作業の回数と作業時間を考慮して築いたマージンもある。もう一度、給油をして最後まで走りきれば、夢であった総合優勝獲得できる。このままトラブルなく走りきって欲しいと誰もが祈るような時間を過ごしていた。

しかし、耐久レースの難しさ、怖さを身をもって感じるときがきてしまった。あと、2ラップ程で最後の給油作業を施すべく、Pit Inを指示した矢先に無情にも「エンシンが噴けない!」と無線連絡が入る。慌ててモニターをみると白煙を上げてスロー走行しているマシーンの姿が映し出された。なんとも言えない緊迫した空気にPit内が覆われた。

富澤選手は満身創痍のマシーンをなんとかPitまで運んだ。やっと辿り着いたマシーンにメカニックが一斉に立ち寄り、チェックを始める。残り時間45分、なんとかチェッカーを受けることは出来ないか、1周だけでも走れないかの声に既に悲鳴を上げてしまったマシーンが再びエンジンの音を響かせることはなかった。

スタートから5時間15分は長いようであっと言う間であり、思い描いたシナリオ通りにレース展開を繰り広げることが出来ていた。「総合優勝も夢ではない、現実になりつつある」いつの間にか更に上を見るシナリオに書き換えられたレース展開に高まる期待を感じないスタッフはいなかったと思う。しかし、残り45分の時点で修復不可能なマシーンの状態を目の当たりにし、チェッカーを受けられない現実、なんとも言えない屈辱を味わうこととなった。複雑な心境のまま今回のレース・ウィークは終わった。

【Driver’s Comment 】
山崎信介・麻生裕二・富澤 勝
今回のレース展開については悔しいの一言しかない。しかし、前回のSUGOで得たデータを基にセット・アップを進め、他車よりも進化をしてこのレース・ウィークに挑むことが出来たことは確信している。そして、更にパフォーマンスを向上させるべく、細かい点でのミスや改善点など、考慮すべきことがまだあることが明確となったのも事実である。全てのことを謙虚に受け止め、次回、最終戦となる岡山で集大成を披露したい。

【最後に】
今回のレースは終盤にマシーン・トラブルでチェッカーを受けることが出来ない不甲斐無い結果となってしまいました。応援してくださる方々の顔を思い浮かべながら日々精進することをお約束し、最終戦となる岡山での一戦では、良い結果をご報告したいと考えます。ご協力くださいました方々に心より感謝申し上げます。何卒、変わらぬご支援を賜れますよう、お願い申し上げます。

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