7Apr
クラッシュから学んだこと
さて、フランスで初めてレーシングカーに乗ってからというもの、その興奮が冷めやらず、僕は真剣にレーサーを目指すことにしました。
とはいえ、レースはお金がかかるのが当たり前で、そのためにアルバイトをしてお金を貯めました。
22歳の時、イタリアのフォーミュラフォード選手権に参戦するために単身イタリアへと渡ります。この時の僕は、ワクワクとドキドキで今思えば、怖いもの知らずでした。
そして、イタリアでの初レースウィークを迎えるわけですが、ここで僕は大きなクラッシュをしてしまいます。その時は、スピードにもマシンにも慣れてきていて、もっと行けると気負っていました。
そこは、中速コーナーだったのですが、立ち上がりでアクセルをいつも以上に踏み込んだことで、アウト側の縁石にマシンを乗り上げてしまうことになりました。
その縁石は、結構段差が付いており、バランスを崩してしまいました。その時に、アクセルを戻してしまい
イン巻きするようにして、フロントからコンクリートウォールに激突しました。
その時の衝撃はすごいものでしたが、幸いにも体へのダメージは全然ありませんでした。ただ、ショックで心へのダメージは大きかったのを今でも覚えています。
確か、修理費は80万円ぐらいだったような気がします^^;
このクラッシュで、僕はあることを身にしみて覚えることになりました。
それが、荷重移動です。
そのクラッシュを回避できるとしたら、アウト側の縁石に乗り上げバランスを崩した時に、アクセルコントロールでバランスを保っていれば、アウト側にコースオフするぐらいで済んだと思います。
バランスを崩してしまった時に、「危ない」と思い、アクセルを抜いてしまったばっかりに、リアにあった荷重がフロントに移ってしまったことで、極端に言えばブレーキがかかったような状態になり、イン巻きするようにして運悪く壁にぶつかったということです。
実は、ドライビングレッスンを始めてから、このような光景を何度か見たことがあります。
それは、筑波サーキット2000の最終コーナーや、富士スピードウェイのAコーナーのような、いわゆる、中・高速コーナーと言われるところで、このような現象が多く起こります。
だから、今ではドライビングレッスンでクラッシュしないように口を酸っぱくして、お客様にはお伝えしています。
特に、中・高速コーナーでのスピンはスピードも乗っている分、どうしても大きなクラッシュに繋がりやすいです。
さらに、僕もそうでしたが、スキルが未熟なことで起こり得ることもあります。ですので、注意が必要ですよと、こんな僕の苦い経験をもとにお伝えしているわけです。
ということで、中・高速コーナーは最初のうちはあまり無理せずに、徐々に速度を上げていってください。
そして、荷重移動が感覚としてわからなくても良いので、とりあえずは、どんなものなのかを理解しておくことだけでも良いと思います。